神待ちをしていたTさんが家に来てから約10分間。僕たちは一言も会話をしませんでした。僕の頭の中は何か話さなきゃという思いが巡り巡って、結局何を話したら良いのか分からなくなるだけでした。するとTさんが「あの、お腹すきませんか?」と聞いてきました。そういえばコミュニティサイトの登録やら待ち合わせやらで何も食べていないことに気が付きました。それに緊張のせいかお腹が空いていることも忘れていました。「そうですね。すきましたね」と僕が答えると、「私何か作りましょうか」とTさんが言いました。「悪いのでいいですよ」と僕は言ったのですが「お世話になるお礼です」といって台所へ向かっていきました。母親以外の女性の手料理なんて生まれて初めて食べます。神待ちってこんなに幸せを感じられるんですね。

 

Tさんの手料理を食べ終わったので、ソファーに座ってコーヒーを飲みながら色々な話をしました。この頃になると不思議と緊張もほぐれ、僕も少しは話をできるようになっていました。Tさんは神待ちをしなければいけなくなったいきさつを話してくれました。Tさんは実家で両親と暮らしているそうなんですが、両親の度重なる喧嘩に耐え切れなくなって家を出てきたらしいです。一人暮らしをする部屋を見つけたいからあまりお金を使えない。だから神待ちをして泊めてくれる人を探していたそうです。僕はほんの少しでも役に立てたならよかったと思いました。

 

言っておきますが、神待ちの女性が泊まりに来たけど、僕はエッチをしていません。そのつもりじゃなかったので一切そのようなことはしませんでした。Tさんもそれには驚いていました。もしかしたらエッチな事を要求されるかもしれないと思って身構えていたそうです。だけど僕が何も手を出さないので、安心した反面、不思議に思ったようです。「エッチな事しなくていいんですか?」と聞いてきたので、「僕はそのつもりじゃなくて、実は彼女が欲しいんです」と伝えました。そしたら「私もずっとこういう誠実な彼氏を探していましたよ」と言ってくれました。

 

その晩はそのまま眠り、朝を迎えたときに、僕は勇気を出して告白をしました。「もう神待ちはしないでください。困ったら僕の所に来ればいい。僕はあなたの彼氏になりたい」と伝えました。Tさんは満面の笑顔でうなずいてくれました。